Wednesday, April 29, 2009

愛とはかくも難しきことかな 閑話2

今に揃っていた僕たちに部屋に入ってきてから気がついたのか、戸口で彼女がびくっと震えた。
少し迷った後、強張った顔で居間に入ってくる。
双子は明らかに歓迎していない態度だし、優成に至っては興味がないとばかりに視線すら動かさない。
可哀想になって、とりあえず手招きをして空いていたソファに腰掛けるように言うと、幾分かほっとしたように頷いて僕たちの輪に入った。
「あの、突然お邪魔することになってしまって、すみません…」
「本当だよ。突然すぎるっつーの」
「す、すみません」
双子の言葉に彼女は恐縮したように縮こまった。
こいつらはいつまでたっても子供っぽくていけない。まるで小学生みたいな態度だ。
「ていうか、なんで御堂に来ようと思ったわけ?やっぱ金なの?」
「誰に何言われたか知らねーけど、俺たちは歓迎なんてしないからな」
「わ、私は、御堂のお父様に、実の子だと言われて」
「それこそおかしくないか?お前、妾腹の子だって言われて、わざわざ本家にやってくるか?」
「何企んでるんだよ、今だったら見逃してやるよ」
あーぁ。彼女はついに涙目になってしまった。
双子は完璧に彼女のことを疑っていて、はなっから唯一の肉親が死んでしまって一人になった可哀想な子という可能性は考えていないらしい。
確かに夕食時に観察していただけでは、どちらかというと良家の子女という方が、孤児よりも似合っていそうな子だけれど。
ちくちくと虐めている双子に嫌気がさしたのか、優成は静かに席を立って出ていってしまった。関心がないから助けもしないらしい。
「なぁ、兄さん。妾腹なんて恥ずかしいよな」
「え?あ、あぁ」
優成の出ていく姿を見送っていたせいか、突然話しかけられてよく分からないけれど返事をすると、双子はほら見ろ、と萌ちゃんに向き直った。
「父さんに妾が居たなんて知れ渡ってみろ、御堂の恥になるんだぜ」
「迷惑なんだよ」
どうやら妾の子扱いをして、相手が怯んでこの家を出ていくことを期待しているらしい。それか彼女の化けの皮を剥がすことを期待しているのか。
相変わらず二人揃って幼い陰険さがある。
「二人とも、そのヘんにしておけ」
「なんだよ。克巳兄だって同意したじゃないか」
止めの手を入れると双子は虐めたり無いのか、反論してきた。しかし一睨みするとすぐに黙った。
「萌ちゃん、君、本当にうちの養子になる気なの?」
「…いえ、御堂のお父様には成人まで扶養してもらって、戸籍自体は渡辺に置いたままにしてもらうつもりです」
「ほら、やっぱり…」
双子はそれみたことかと背中からつついてくる。養子に入らないのは、婚約者候補だからだと真剣に信じているらしい。
「それなら、それで良いけど。そうだね、君が父の実子だという件は、他言しないでいてくれると助かるな。やはり父に妾が居たなんて話しが出回るとスキャンダルだからね」
「…はい」

No comments:

Post a Comment